第3章 出会い
更紗に天賦の才があろうと慣れないことをすれば疲れるし、いきなり肺の性能が上がる訳では無いので、酸素を多く取り入れようと息切れする。
いくら細胞が勝手に回復するからと言って、その回復が追い付かない程の速度で鍛錬すれば素振りと腕立てで腕は重くなってくるし、腹筋により筋肉が悲鳴をあげる。
特に今まで調理器具以上に重いものを持ったことの無い手のひらは、素振りによって豆が出来、潰れ血が滲んでいる。
千寿郎の息も絶え絶えになりつつも、初鍛錬の更紗より先にへばる訳には行かないと気合いで弱音を吐かず鬼師範の鍛錬を受けている。
「よし!今日はここまでにしよう!2人共、よく音を上げず最後まで乗り切ったな!」
一刻半(3時間ほど)も木刀を振り、腕立て腹筋を途中から数える事を諦めるほどさせられ、2人はまるで水浴びをしたように汗で全身びしょ濡れになっている。
そんな2人の頭をクシャッと撫で、鬼師範から杏寿郎の顔へ戻り笑顔を向けた。
「疲れているだろうから、昼餉の準備は俺がする。2人は」
「「大丈夫です!」」
杏寿郎の言葉を2人が同時に遮って、産まれたての子鹿のように足をプルプルさせながら立ち上がる。