第13章 新居と継子たち
「言いにくいと思うが……姫さんの寿命、どのくらい縮まってんだ?」
「……胡蝶によると、10年だそうだ。あの子の今の半生よりも長い寿命が奪われた。それでも笑って過ごしたいと……俺たちにもこの件で悲しまず笑っていてほしいというのが、更紗の願いだ。宇髄もいつも通りでいてやってくれ」
今日、天元が更紗の姿を見た時、本当にいつも通りだった。
冷やかしに顔を赤らめ、笑顔で自信満々に返事をし、普段通りに厳しい鍛錬を行い、今も床で伸びている2人を心配して水や手拭いを準備しに元気に飛び出していった。
あまりにいつも通りで寿命のことなど、天元の頭から消えていたほどだ。
「……どんな願いだよ、ったく。まぁ、姫さんらしいっちゃ姫さんらしいけどな。俺はいつも通りでいっから安心してろ!お、噂をすれば……ってもういねぇ!」
いつも通りでいるとの天元の返事を聞き終え、杏寿郎は更紗の姿が目に入ると俊足で更紗のそばへ移動し、その手に持っていた手拭いを受け取り持ってやっていた。
「もう突っ込む隙もないな……しゃあねぇ、んじゃ俺はあそこで伸びてる奴らを仰向けにしてやるとするか」
天元は穏やかに笑う3人にため息を漏らしつつ笑顔を向けると、伊之助と善逸へと足を向けた。