第13章 新居と継子たち
「なんだそりゃ?姫さんは相変わらずトンデモねぇな!じゃあ、俺たちも同じように血と酸素を一気に巡らせたら、身体能力ぶち上げられんじゃねぇか?」
確かにそうかもしれないが、杏寿郎には安易に頷くことが出来なかった。
1度目に更紗がそれを行ったとき、体に異常をきたしていたからだ。
「上がるかもしれんが、推奨は出来ん。更紗が初めてそれをした時、目から血を流していた。身体能力を飛躍的に上昇させる代わりに、体に大きな負荷がかかっているように思える。あの子は特殊な能力がある分、それを緩和、もしくは無効化しているのだろうが、果たして俺たちが試したとして体がその負荷に耐えられるのか分からん」
「んだよその嘘みてぇな状況……で、上弦の鬼と闘った時も今みたいに目の色が変化してたってわけね」
杏寿郎は眉をひそめ、当時の更紗の瞳の色を思い出しながら頷いた。
「あぁ、しかも瞳の色も熱も暫くすると元に戻るのだ。これ以上、寿命を縮めていなければいいのだが……」
その言葉に天元が目を見開き、悲し気に瞳を揺らせた。
文献を読んでいるので、更紗があの屋敷で寿命を縮めている事を知っているからだ。