第13章 新居と継子たち
「私は大丈夫ですよ?それよりも、善逸さんと嘴平さんの手当てをしなくては……私、手拭いとお水を持ってきます!」
慌てて入口に向かう更紗に、2人と同じ勢いで頭をぶつけたはずの炭治郎が走り寄って来た。
「俺も行くよ!1人で両方持つのは大変だ」
「ありがとうございます。では師範、天元君はこちらで少々お待ちください。後ほどきちんとご説明いたしますので」
そう言い残して、歩くのもままならないはずの2人が元気に道場を飛び出し、母屋へと走り去っていってしまった。
徐々に小さくなる2人の背を杏寿郎と天元は見送っていたが、天元によって視線はそこから外された。
「なぁ、煉獄。姫さんのあの熱と身体能力の派手な上昇、何か関係あんのか?尋常じゃない熱さだったぞ」
杏寿郎自身、言葉では更紗から体温の急激な上昇を聞いていたが、実際に触れてその熱さを実感したのは天元と同じく今しがただ。
あれほどまでに上がっていたことに杏寿郎が1番驚いている。
「関係はあるはずだが、俺もまだ詳しくは聞いてないので詳細は不明だ。更紗によると、血液・酸素・力を一気に体に巡らせると急激に体温と心拍数が上昇するらしい。それに伴って身体能力が飛躍的に伸び、柱でないはずの更紗が上弦ノ参と渡り合った」