第13章 新居と継子たち
そう言ってわずかに震える更紗は、いつもより小さく見え本当に恐怖していたのだと伝わる。
杏寿郎はそんな更紗の姿に申し訳ない気持ちが湧くと共に、不謹慎だと理解しつつもどうしようもない愛おしさが込み上げ、小さくなっている背を両腕で包み込んだ。
「心配をかけてすまなかった。俺もまだまだ鍛錬が足りんな。更紗、顔を上げられるか?」
更紗は小さく頷き、今にも涙を流してしまいそうなほど悲しく歪んだ顔で杏寿郎を見上げた。
「あの闘いの後、こうしてきちんと向き合ってやれてなかったな。俺はこうして生きている、更紗が共に闘ってくれたからだ。礼を言わなければならないのは俺の方だ、心から感謝している。ありがとう」
その言葉に更紗の瞳から涙が零れ、更に強くしがみついていった。
「私に謝罪もお礼も必要ないんです!もう生きていて下さるだけで私は十分なのです!」
「そう言うな、更紗は俺にとって大切な存在なので礼も謝罪もさせてくれ」
杏寿郎は更紗の頬に流れる涙を拭ってやり、まぶたに唇を落とす。
そのまま唇に口付けにしようとするが、いつもの如く冷やかす声が外から聞こえた。