第12章 夢と現実 弐
「私でお役に立てるならば、私は喜んでお話しします。杏寿郎君、よろしいでしょうか?」
「勿論だ!それに竈門少年たちは俺が面倒をみてやるって決めているからな!気持ちが変わっていないならば、この後全員で俺と更紗の新居に来るといい!」
炭治郎は列車内でもここでも面倒を見てくれると断言した杏寿郎の言葉に表情を明るくするが、杏寿郎と更紗の新居……と聞いて更紗に遠慮気味に質問した。
「2人の新居に俺たちがいきなり押しかけて迷惑じゃないか?その……煉獄さんと更紗は婚約者同士なわけだし」
更紗は未だに解放してくれない杏寿郎の腕の中で、顔を赤くしながらも笑顔で答える。
「迷惑なんてとんでもないです!杏寿郎君がそばにいて下さって、炭治郎さんたちもそこに来て下さるのは嬉しい限りですよ。私、賑やかな生活に憧れてましたから」
更紗の許可も得られ、炭治郎は満面の笑みをたたえた。
「ありがとう!俺さ、家族が多かったから何だか昔に戻れるような気分ですごく嬉しいよ!皆に伝えてくるので、煉獄さんと更紗はここで休んでいてください!」
そう言って走り出した炭治郎の背中を、更紗と杏寿郎は悲しげに目を細めて見送った。