第12章 夢と現実 弐
「どうかされましたか?」
「更紗、今日の君の体はどうなっている?瞳の色が戻ってるぞ……もしかすると、あの急激な身体能力の上昇が関係しているのかもしれんな……帰ったら詳しく聞かせてくれ。いいな?」
髪が伸びたことから始まり、急激な体温と心拍数の上昇、それに伴って飛躍的に高くなった身体能力と技の威力、挙句の果てには瞳の色がころころと変わったのだ。
杏寿郎でなくとも、一晩でこれほどにまで体に変化を起こす人物が近くにいれば理由を知りたくなるだろう。
現に杏寿郎の言葉に更紗が返事をする前に、そばで2人の会話を聞いていた炭治郎が反応した。
「急激な身体能力の上昇なんてありえるんですか?!俺……今日の2人の闘う姿を見て、強くなりたいって思ったんです。何も出来なくて2人に頼ってばかりだったので…… 更紗、俺も一緒にきいてもいいか?」
実際には猗窩座に攻撃が通用し出したのは、初めを除けば身体能力が上がってから……しかも猗窩座がなぜだか更紗に直接攻撃を仕掛けて来なかったと言うのも大きい要因だ。
だが自分に起きた異変が誰かの役に経つのならばと、更紗は迷うことなく頷いた。