第3章 出会い
「そうですね!では洗い物を済ませてしまいましょう!その後、よければこっそり兄上の鍛錬を見に行きませんか?昼餉も朝餉の残りと、あと1品何か作って、父上のご飯を作ってお出しするだけなので、2人ですれば十分間に合います」
更紗は千寿郎の提案にパッと明るい笑顔を浮かべ大きく頷いた。
「素敵なご提案ありがとうございます!私、1度もそう言ったものを見た事がないので楽しみです」
その言葉に千寿郎は首を傾げる。
「更紗さんは鬼に襲われている所を兄上に助けられたのでは?」
「そうなのですが、必死に逃げていたので杏寿郎さんが鬼を退治してくださった所を見れませんでして……」
シュンとなる更紗に慌てて千寿郎が首を振る。
「むしろ僕は兄上が到着するまで、逃げきれていた更紗さんがすごいと思いますよ!それに僕も鬼を退治する兄上の姿を見た事はありません。後で助けていただいた時のお話も聞かせて下さい!」
更紗が頷くと、ようやく2人は後片付けに入った。
千寿郎は日々家事をこなしているので、ある程度ソツなくこなす自信があったが、更紗の想像以上の手慣れた動きに驚いた。
(深窓の姫君のような少女だと兄上は仰られていましたが……深窓の姫君がここまで家事をこなせるものなのかな?)