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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第12章 夢と現実 弐


「俺はそのような事は望んでいない!人が衰えるのは当たり前の事だ!衰え死ぬからこそ愛おしみ、生きている今を大切に出来る!永遠に共に過ごせたとて、人の尊厳を踏みにじり命を奪ってしか生きれないならば、そんな事に何の価値も魅力もない!」

猗窩座は杏寿郎を勧誘してもすぐに色よい返事が貰えるとは考えていなかったようで、余裕の笑みを浮かべ構えを解かぬまま後退し、杏寿郎の背後にいる少女へと話題を振った。

「そこの女!お前はどうだ?お前は今は弱いが強くなる見込みがある。杏寿郎と共に鬼となり、永遠に技を磨き闘い続け、永遠に共にいたいとは思わないか?」

それが何をもって幸せというのか分からないというように、更紗は首を左右に振って拒絶する。
しかも更紗にとって、永遠に闘い続けるなど鬼がいない世界ならば御免こうむりたいことである。

「全く思いません。例え強くなれたとしても、私は私の大切な人たちと共に過ごせないなら、私の考える幸せとはかけ離れています。それに、私は多くの人に思いや命を託され、それを引き継ぐ義務があります。人としてその義務を果たします」

更紗の淀みない真っすぐな答えに杏寿郎は背を向けたまま僅かに笑みを零すが、猗窩座は不愉快だというように顔をしかめた。
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