第12章 夢と現実 弐
「君と俺とでは判断基準が違う。これ以上話したとて、分かりあえる事はない!」
杏寿郎は地面を強く蹴り勢いをつけて猗窩座へと斬りかかっていった。
それを猗窩座は拳で受け止め、とんでもない提案を口にする。
「杏寿郎にいい提案がある!あの女を連れ去るのは決定事項だ。鬼にするか喰うかは知らんが、俺が掛け合って鬼にするようにしてやる!だからお前も鬼になれ!」
猗窩座の勧誘に杏寿郎は眉を吊り上げ、拳を振り払いその腕を切り落とす。
しかしその腕はすぐに修復され、一瞬で元に戻った。
「更紗は攫わせんし、鬼にもさせない!俺もどんな理由があろうと鬼になど絶対にならない!」
繰り出される拳を避け、その腕を再度切り落とし一度距離を取って技の構えを取る。
地面を強く踏みしめ、勢いよく跳躍し上空から刃を振り下ろした。
「炎の呼吸 参ノ型 気炎万象!」
更紗のものとは威力も速度も遥かに違う、洗練された技は猗窩座の肩から腹へと深く傷を作るが、それに体勢を崩すこともなく嬉しそうに笑みを浮かべている。
「素晴らしい剣技だ!鬼になればその剣技を衰えさせることなく、更に磨くことが出来るのだぞ!それに2人で鬼になれば、永遠に共にいられる」