第11章 夢と現実 壱
そう言って更紗は修復を終えて蠢きだした肉塊と目へと日輪刀を振るい、炭治郎と伊之助に視線を向ける。
すると準備が出来たと頷き返してくれた。
その2人の視線の先、機関室の中央付近は何かを守るように肉が盛り上がり周りを目が覆っている。
更に炭治郎と伊之助を近付けさせまいとそれらがみるみる形成されていくが、それを更紗が許すはずもない。
「これ以上奪わせない!悲しみを増やさないで!」
何度も眠らされそうになっては生傷を作り眠らされると夢の中で何度も自死を繰り返し、心身共に傷だらけになりながらも懸命に自我を保って隙を作って腹の底から声を絞り出す。
「今です!倒してください!」
それを合図にまずは伊之助が飛び上がり、肉の盛り上がった場所に技を放った。
「獣の呼吸 肆ノ牙 切細裂き!」
何度も同一箇所に斬撃を叩きこみ、狙っていたものを機関室の床から露出させた。
そこには列車と同化した下弦ノ壱のものと思われる巨大な頸の骨が不気味に佇んでいる。
「行けぇーーー!デコパチ郎!」
更紗はその間も絶え間なく出現し襲い掛かってくる肉塊と目を切り裂きながらも、高く飛び上がった炭治郎を視界に映した。