第11章 夢と現実 壱
この車輌は数分は大丈夫と判断した更紗は禰豆子と眠っている善逸の様子を伺うため、1つ前の車輌へと足を運ぶ。
だがそこに禰豆子の姿はなく、善逸が眠りながら肉塊を確実に斬り伏せていた。
それならばと更に先の車輌、先頭車輌へ視線を巡らせると、禰豆子が鋭い爪で肉塊から人々を守る姿が目に入るも、それが追い付かず両手足を拘束されてしまった。
「間に合って!」
更紗が全力で移動を始めるが、やはり更紗の邪魔をするように目が出現して眠らせようとしてくる。
しかも今度は自身の体を傷付けて意識を保たせることが出来ず、夢の世界へ飛ばされた。
だが夢の世界の脱出方法はもう分かっている。
夢に落ちたと同時に首に日輪刀をあてがい、躊躇いなく切り裂いて覚醒させた。
「禰豆子さんは?!」
確認しようにも目が出現しては眠らせようとしてくるので、生傷が増えるばかりとなる。
「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 六連」
突如背後から善逸の声が聞こえたかと思うと目にもとまらぬ速さで目諸共全てを斬り伏せ、禰豆子の救出まで一瞬で終わらせてしまった。
「禰豆子ちゃんと更紗ちゃんは俺が守ーー……る。スピ」