第11章 夢と現実 壱
指示を出された5人は途中まで共に移動していたが、伊之助が何かを感じ取ったらしく炭治郎を引き連れて車輌の屋根へと姿を消していった。
残ったのは3人。
しかし善逸は夢の世界から帰還していないのか、眠ったまま走っている。
「善逸さん?」
「んーー…スピピ」
やはり眠っている。
どうしたものかと更紗も頭を悩ませるが、杏寿郎が問題ないと判断したのだから問題ないのだろう……きっと。
そのまま前へと移動を続け任された前方車輌の真ん中、前から2両目に到着した。
その間も肉塊は人々を喰らおうとうごめき始める。
それを目にした禰豆子の体がみるみる成長し、鋭い爪を伸ばして更紗の隣りに並んだ。
「禰豆子さん……人を守るために闘ってくれるのですね!ここはお任せしてよろしいですか?」
「んっ!むーー!」
禰豆子は頷き、向こうを頼むと言うように指で後方の車輌を指差した。
「はい!何かあれば呼んでください。すぐに駆け付けます」
そう言い残し更紗は3両目へと移動した。
すると肉塊もようやく定着したのか、椅子で眠る人々に食指を伸ばし始めた……ように映ったが、その肉塊に目が複数出現し視線が更紗を捕らえた。