第11章 夢と現実 壱
綺麗な円を描いた技は鬼の頸を床へと転がし、やがて塵となって消えていった。
それに心の中で冥福を祈った更紗が小さく息を零すと、杏寿郎が力強く肩を叩いて健闘をたたえてくれる。
「よくやった!それに……無事で安心したぞ!なかなか帰ってこないので、皆心配していたのだ」
「ありがとうございます。売り子さんが見つからなく……」
「更紗すごいな!俺も更紗みたいに強くなりたい!煉獄さん、弟子にしてください!」
「あいつの弟子になればお前と闘えるのか?!それじゃあ俺もなるぞ!」
「え……俺はしんどいの嫌だけど……強くなったら禰豆子ちゃんとか優ちゃんに好かれるかな?!それなら頑張っちゃおっかなー!」
更紗の言葉を遮り次々と炎柱への継子志願者が増えていく。
普段なら更紗もそんな3人の言動に喜び顔をほころばせていただろうが、今は焦りが勝ってしまう。
「いいだろう!俺が面倒を見て強くしてやる!この任務が終わり次第我が家へ来るといい!しかし、今は更紗の報告を聞くのが先だ」
いつもと違う更紗の様子を見てくれていたのだろう。
杏寿郎は3人の継子の申し出を受けつつも、更紗の話しを聞く態勢を整えてくれた。