第11章 夢と現実 壱
そんな残りの1つも終盤に差し掛かった頃、見覚えのある隊服を着た少年たちが妻引戸から姿を現した。
「炭治郎さん!善逸さん!嘴平さん!」
更紗からは真正面なのですぐに気が付いて手を振り、背を向けて座っている杏寿郎は更紗の声と反応で気が付き振り向く。
「煉獄さん、更紗!お久しぶりです!」
「竈門少年たちではないか!なぜここに?」
「任務先で煉獄さんたちと合流し、共に行方不明事件の解決に当たるようにと指令が入ったんです」
柱の派遣に加え剣士の増員となると、本部がそれだけ今回の任務は危険だと判断したということになる。
「それほど強い鬼が出るということでしょうか?」
「かもしれんな。全員、気を引き締めておけ!」
柱の指示に全員が頷くも、伊之助は高速で移動する列車に興味の全てを持って行かれ、窓にへばりついている。
そしてそれを涙目の善逸が必死に引き剥がし、相変わらず叫んでいた。
「え?!ここに鬼が出るの?!降りるー!」
「善逸さん、それは危ないのでやめた方が……」
「そうだけどさ!更紗ちゃんは怖くないの?」
そう言われ更紗は考え込むも杏寿郎や那田蜘蛛山で活躍したらしい3人が目の前にいるので、特に胸の中に不安はよぎらなかった。