第10章 裁判と約束
「更紗、気にしなくて大丈夫だ。君に助けてもらった俺が言うのも可笑しいかもしれないけど、ここで薬を出してもらってるから善逸の体も元に戻る。だから、そんな悲しい顔をしないでくれ」
見舞いに来たはずなのに、見舞い相手に慰められてしまった。
こちらが元気づけなくてはいけない立場だったと思い出し、更紗は気を持ち直した。
「ありがとうございます。しのぶさんのお薬があるなら私の出る幕はありませんね!えっと、善逸さんの苗字はなんていうのでしょうか?」
「え?我妻だけど……ちょっと待って、俺だけ話についていけてないんだけど」
「我妻さん!早く良くなってくださいね!」
「まさかの退化!!せめて炭治郎みたいに名前で呼んでよ!で更紗ちゃんの出る幕って?」
何も知らない伊之助はもちろん無言。
俄かに知っている炭治郎は口をつぐみ、自身の能力であり説明は出来るが杏寿郎に口止めされている更紗は眉をハの字に曲げて口を閉ざす。
「うむ!溝口少年、妹はどこだ?姿が見えんが」
杏寿郎は無理矢理話しを変えすぎて不自然でしかない。
しかし、炭治郎は杏寿郎の無理矢理な路線変更に乗っかった。
「煉獄さん、俺の名前は竈門です……禰豆子は別室で寝ているんです」