第10章 裁判と約束
俄かに信じがたい話ではあるが、更紗自身が信じがたい力を有しているのですんなりと受け入れ信じた。
「それはすごいです!炭治郎さんが仰ってくださったように、お母さんのような優しい人物であれるよう、努力しなくてはなりませんね」
炭治郎に向けられた柔らかな笑みに、炭治郎はもちろんいつの間にかこちらを見ていた杏寿郎や伊之助もつられて穏やかな雰囲気になった。
ただ1人善逸は、炭治郎を物凄い形相で睨んでいる。
「おい、でこっぱち!なんでお前だけ更紗ちゃんと仲良くしゃべってんだよ……!俺なんて煉獄さんに手ぇ叩かれたんだぞ!俺だってくっさい蜘蛛に毒入れられながらも頑張って倒したのに!体は蜘蛛になりかけるし女の子とは喋れないし散々だよ……」
よく見てみると、体のわりに手足が短いような気がする。
善逸が頑張って倒した蜘蛛の毒は、人を蜘蛛にしてしまう効果があったらしく、手足が短いのはその影響なのだろう。
更紗は悲し気な瞳で杏寿郎を見つめるが、首を左右に振られてしまった。
「黄色い少年が俺の継子になるならば構わないが、そうでないならこれ以上許可なく広めてはいけない」
鬼の毒に対して更紗の力が有効かは不明だが、治してあげられる可能性があるなら試させてほしかったのだろう。