第10章 裁判と約束
「こら、善逸!煉獄さんにも更紗にも失礼だろ!すみません、たまに気持ち悪くなるんです」
まるで善逸が弟かのように炭治郎が代わりに謝罪するも、善逸は体をくねらせながら更紗の手を握ろうと手を伸ばすが……
バシッ
と杏寿郎に叩き落とされた。
「俺は構わない!更紗が愛らしいのは事実だからな!だが、そのような顔で更紗の手は握らせん!」
「どういうこと?!え、何?煉獄さんと更紗ちゃんってどういう関係なの?!……ま、まさか?!」
叩かれた手を撫でながら、善逸の顔には悲壮感が漂い始めた。
「婚約している!なので、よからぬ気持ちで触れられては困るのだ!」
……言い表せない絶叫が部屋中に響き渡った。
「善逸!ここは病院だぞ!静かにしないか!」
「だって許されるの?!柱が弟子に手を出すなんて!」
「隊律違反に当たらんからな!問題ない!」
そんなやり取りをハラハラしながら眺める更紗だが、1人?大人しくベッドに横になる猪が視界に入った。
「猪……?でも手が出てますよね?」
小さな呟きも、杏寿郎はいつも通りしっかりと聞き取った。