第10章 裁判と約束
「杏寿郎君!私、炭治郎さんともう1人の方に最終選別で助けていただいた人がいると言っていたと思いますが、あちらの黄色い髪の方です!」
「何?!そうなのか?」
杏寿郎は更紗を伴い、黄色い髪の少年のベッドの隣りへ移動する。
その僅かな間でも、柱に近付かれると言う恐怖からか少年はガタガタと体を震わせている。
「その節は更紗が世話になった!この子の師範として礼を言う!」
「え?俺いつの間に炎柱の弟子助けたの?しかも可愛い子なのに記憶ないんだけど……ねぇ、炭治郎知ってる?」
あの場に炭治郎はいないので知るわけがない。
もちろん炭治郎の答えは否というもので、首を左右に振っている。
「覚えていらっしゃらないかもしれませんが、私、最終選別の時に貴方に助けていただきました。あの時、きちんとお礼を言えなくて……本当にありがとうございます」
身に覚えがないものの、炎柱と更紗に礼を言われ、嬉しそうに…… 更紗の方を見て鼻の下を伸ばしながら頷く。
「いやぁ、そんな大したことじゃないですよ!君、更紗ちゃんって言うんだー!俺は我妻善逸って言うの、よろしくね!」