第10章 裁判と約束
柱直々に継子の隊服調整の指名を受け、鈴村は嬉しそうに顔を綻ばせ更紗の手を取った。
「勿論でございます!破れても大丈夫だから、いつでも持ってきてね、月神さん!」
「はい!ありがとうございます!」
女子2人の笑顔に満足気に杏寿郎は頷くが、徐々に後退りここからひっそり去ろうとしていた前田を見逃すはずもなく。
「前田隊士、女子が嫌がる言動をしてはいけない!以前に不死川に叱られたのだろう?裁縫の腕は確かなのだから、自ら評価を落とすことをするな」
怒鳴られるよりも堪える真っ当なお叱りを受けた前田はしょんぼりと項垂れた。
「すみません……」
「うむ!分かってくれればいい!では更紗お暇させていただこう。これから予定が出来たのだ」
前田が激しい叱責を受けずにすんでホッとした様子の更紗は、杏寿郎へ振り返り予定という言葉に首をかしげつつも頷く。
「はい。鈴村さん、前田さん、昨日今日と連日でお邪魔しました。これからもお世話になるかと思いますが、よろしくお願いします」
2人に更紗と杏寿郎が頭を下げると、慌てて2人も頭を下げて柱とその継子を見送った。
「今日来たのが煉獄様でよかったね。ちょっとは改心した?」
「……うん。ちょっと」
まだまだ前田の改心は遠そうである。