第10章 裁判と約束
「大丈夫!煉獄様はこんな事で怒らないから、ね!!してみよう、お化粧お着替え!!まださっきの剣士の人が呼ばれて時間たってないし、変身する時間はたっぷりあるよ!」
そう言いながら作業台をヒョイと飛び越えて更紗の隣りへと着地する。
お行儀はよくないがさすが鬼殺隊に属する女性。
町娘に比べると断然運動神経はいいようだ。
「でも……お部屋で待っていますと伝えているので」
「よし、嫌なわけじゃないならやっちゃおう!さ、こっちだよー」
更紗も精一杯自分なりに抵抗を試みたが鈴村の強すぎる押しに負けてしまい、別室へと連行され『鈴村流大変身計画』とやらに強制参加させられてしまった。
それが終わる頃には日も暮れかけ夕日が山間に沈もうとしていた。
更紗は深紅の着物に身を包み、今はまだ誰もいない部屋でホッと一息ついている。
唇には薄く紅を、目元には細く墨が引かれ、頬もほんのり色を乗せてもらっているので上気したようになっている。
髪型は鈴村曰く
「煉獄様とお揃いです」
とのことで上半分だけ結わえて残りは背中へ流されている。