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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第10章 裁判と約束


あの屋敷での更紗の境遇に杏寿郎は涙が出そうになるが、それを強いていた者とのいらぬ縁は更紗自ら断ち切ったので、敢えて苛立ちや憂いを出すことはしなかった。

そんな存在せぬ輩よりも自身に寄せられた更紗からの絶対的な信頼に心の中が温かくなり、杏寿郎は更紗の体を引き寄せ細い肩を両腕でしっかり抱きしめる。

「当たり前だ。更紗は継子であると共に俺にとってかけがえのない世界であり存在だからな。よこしまな考えを抱きそうな者など敷居すら跨がせん!……そもそもそんな輩はどの柱もいらんだろう」

それもそうだ。
弱き者のために刀を振るう剣士が自分より力の弱い女子にいかがわしい事をしようものなら、柱と言わず多くの隊士が黙っていないだろう。

……それに万が一、更紗に手を出そうとしても強烈な踵落としを見舞われてその者の色々な何かが終わりそうだが。

「はい。ですので杏寿郎君は何の心配もなく継子を迎えてください。共に鍛錬に励める同志が増えることは私の成長にも繋がりますし、何よりも嬉しいです」

自分を見上げるどこまでも強くあろうとする更紗に杏寿郎の中で愛しさと誇らしさが込み上げてくる。
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