第10章 裁判と約束
お館様を全員で見送った後、柱達は昼餉をとりに行ったり隊服の調整に行ったりと各々の時間を過ごしに行った。
そんな中、更紗は杏寿郎と共に本部内に植えられている狂い咲きの藤の花の下をのんびり歩いて時間を過ごしている。
近くに池もあり、それを覗くと藤の花が映ってなんとも幻想的な光景だ。
そんな見惚れるような光景にも関わらず杏寿郎はずっと何か考え込み1人唸っていた。
「何か悩み事ですか?私でよろしければお聞きしますよ?」
更紗の声に1人ではなかった事を思い出したのか、杏寿郎はピクリと肩を震わせて苦笑いを浮かべた。
「すまない、少し考え事をしていた。ふむ……では聞いてもらえるだろうか?」
遠慮気味な杏寿郎の手を握り更紗はフワリと微笑みながら頷く。
「もちろんです。何を考えていらっしゃるのですか?」
「む……更紗は俺が継子を増やすと言ったらどう思う?」
以前、煉獄家で離れに引っ越す際に、継子希望者がいれば受け入れると言っていた事が更紗の頭をよぎった。
確かその時は賛成だと伝えたはずだが上手く伝わっていなかったのかと首をかしげる。