第10章 裁判と約束
裁判が行われるお馴染みの綺麗に手入れのされた庭。
更紗は1番手前の下座で正座をして、緊張しながら今から行われるであろう裁判に身構えている。
なぜか義勇は更紗が手を伸ばせば届きそうな位置に1人立っており、続いて天元、蜜璃、杏寿郎、無一郎、しのぶ、行冥となっている。
ちなみにこれまた何故か小芭内は庭に植えられている木の上に寝そべっており、実弥はまだ到着していない。
そんな錚々たる人材が集まる中、手を後ろ手で縛られている竈門炭治郎が意識のないまま柱の前に転がされている。
(すごい怪我です……裁判とはいえ地面に寝かせていても大丈夫なのでしょうか?隠の方がお声を掛けても目を覚ましませんし……それに妹さんの姿も見えません)
色々気掛かりではあるが、更紗は柱に意見出来る立場ではないのでハラハラしながら見守るしかない……
柱と更紗が炭治郎が目を覚ますのを待っているが、隠が何度声を掛けても覚醒せずだったので、ついに声を掛け続ていた隠が柱達の重圧に耐えきれず声を荒立てた。
「オイコラ、やい、てめぇ、やい!!いつまで寝てんださっさと起きねぇか!! 」
一際大きな声が庭に響くと、炭治郎は体をビクリと震わせて目を覚ました。
「柱の前だぞ!」
隠の声に、炭治郎は弾かれたように目の前に佇む柱達に驚きの眼差しを向けた。