第10章 裁判と約束
「大丈夫だ。いくら強大な鬼であっても、同じ志を持つ仲間がいる。1人では敵わなくとも、多くの力が集結すれば想像もつかんほどの威力を発揮するんだ。だから恐れることはない」
更紗を見つめる杏寿郎の目は力強い光を放ち自分や柱の力だけでなく、鬼殺隊そのものの力を信じていると語っているように映った。
それが更紗にとって嬉しくもあり、自然と心の中の恐怖を打ち払ってくれる強烈な光となった。
「はい!私、今の鬼殺隊ならば長きに渡った戦いに終止符が打てるように思います。その時、その場に私もいられたらどんなに嬉しいでしょうか」
本人には全くそのつもりはないのだが自分がそこにいないかもしれないと仮定した言葉が杏寿郎は気になった。
しかしせっかく元気になった女子を再び落ち込ませるのもしのびなく、咎めることを控えた。
「その時は」
「派手に全員揃ってるに決まってんだろ!な!煉獄」
いつも通り、見計らったかのように2人の隣りに天元が姿を現した。
いつもならば苦言を呈していただろうが、この時ばかりは一気に場の空気が明るくなったので感謝の念が沸いてくる。
「その通りだ!だから悲観する事はない。それにしても宇髄は更紗が来ると分かっていると到着が早いな!」