第9章 風柱と那田蜘蛛山
「あぁ、俺にとって誇りだ。他の皆にとっても誇りであったり……様々な思いをこれに抱いているだろう」
いつもより歯切れの悪い返答を更紗は疑問に思うが、それぞれ考える事や思う事は個人個人で違うものだからと深く追及はしなかった。
「更紗サン!!」
杏寿郎の手を未だに握り羨望の眼差しを向けていた更紗に、上空から声がかけられた。
そちらに視線を持っていく前に、肩へと声の主が降り立つ。
「神久夜さん、どうされましたか?本日の任務は完了したはずですが……」
肩に乗る鎹鴉の神久夜は申し訳なさそうに頭を下げ、上目遣いで更紗を見つめて、ここへやってきた経緯を話す。
「ソレガ……立て続けニナリマスガ、新たナ任務デス。炎柱様と共ニ那田蜘蛛山ヘ向カッテ下さい。水柱様、蟲柱様モ急ぎ向カッテオリマス」
「何?!柱が2人も……つまりこれは更紗の任務で、俺はれいにのっとって同行という認識で構わないな?」
ズイと顔を寄せられた神久夜は思わず身を引きつつその眼力に押されコクコクと首を上下に動かした。
「ハイ。例の鬼ヲ討伐シタトハ言え、鬼舞辻無惨は健在デス。道中ノ危険ヲ鑑ミテ、炎柱様ノ同行が必要ニナリマス」