第9章 風柱と那田蜘蛛山
「正確には分かりませんがある程度は把握出来ています。今の使用頻度だと1年弱くらいで許容範囲を超えるかと」
屋敷から救い出してからの期間を考えると溜まる時間はそこまで急ではない。
だが、今まではそうだっただけで、これからも同じ速度だとは限らないのだ。
杏寿郎もそうだが、更紗は成長期真っただ中なので力の生成速度が一気に上がる可能性も大いに考えられる。
「1年弱か……あの未定ノ型を使用すればどれほど消費されるんだ?」
「以前に実弥さんの傷を治癒した時と同じくらい……でしょうか?今の体内の蓄積量からすると僅かな量ですね」
キリッとした表情でそう言われ、杏寿郎はガクリと肩を落とした。
消費量がそれなりならば、これからの任務で使用させて体内の蓄積分を減らせると思ったが当てが外れてしまった。
「嘆いていても仕方がないな!蝶屋敷に行くまでは未定ノ型を使用し、君が任務で怪我をした際は力を使って治していくとしよう!それで構わないか?」
「はい!あまりありませんが、杏寿郎君が怪我をした時も治させてください。その方が少しでも減らせると思いますので」
「む……あまり気は進まんが、更紗の為になるならば頼むことにする!」
応急的な対処が決まったが、すぐにそれが必要なくなる日がやってくるとは2人は知る由もない。