第9章 風柱と那田蜘蛛山
あの後、夜が明けてそれぞれの家へと帰っていく時、渋々ながら杏寿郎に許可を貰えたので、更紗はしのぶと後日改めて会う約束を取り付けてもらった。
それから1ヶ月あまり経ち、任務をこなし終えたある日の夜、ほぼ確信を持った杏寿郎は更紗と向かい合って座っていた。
「今から君の未定ノ型についての持論を話す!これから先の闘いに関わる事なので、しっかり聞くように!」
生まれ持った眼力と声量がいつもより増されているので、更紗は反射的に居住まいをただし慎重に頷き耳を傾ける。
紫の炎についての杏寿郎なりに出した結論はこうだった。
まず更紗の体に合った呼吸は炎で間違いない。
そこに感情の昂りによって手から漏れ出た力が作用して、通常の炎の中に紫の炎が混ざって出てくる。
以前にお館様も言っていた通り、更紗の不思議な力は光だとかそう言った掴めない物ではなく霧のような物である。
炎の赤と水の属性と考えられる霧……青が合わさり紫へと変化している。
そして漏れ出る分はごく僅かなので問題ないと思われるが、意図して紫の炎を使用する……つまり未定ノ型を使用するとなれば力を多く使う事につながる為、注意が必要となる。