第9章 風柱と那田蜘蛛山
更紗を見守っていた3人と共に煉獄家へ帰ると、すでに全員が戻っており、それに加え天元の嫁達3人も加わって玄関にひしめき合っていた。
現在は夜もすっかりふけているというのに、まさかの槇寿郎までも混ざって軽いお祭り騒ぎとなっている。
初めは足技の話しや十二鬼月の1人を倒した時の事など、次々と休む間もなく話し掛けられていた更紗だったが、それも落ち着き今は杏寿郎の隣りでちょこんと笑顔で静かに座っていた。
「体は辛くないか?少し部屋で休んでも構わないぞ?」
杏寿郎の優しい表情と言葉に更紗は顔を綻ばせる。
「ありがとうございます。全く辛くはなくて……ただ、なんだか賑やかで幸せだなって思っていました」
成人組が楽しげに酒を酌み交わしている周りで、未成年組も各々好きな飲み物を飲みながら思い思いに楽しむ様子を、更紗は眩しそうに見つめた。
それにつられて杏寿郎もそちらに視線を移す。
「あぁ、そうだな。俺もそう思うが……そろそろ雲行きが怪しくなってきたぞ」
笑いを噛み殺す杏寿郎は更紗に視線で実弥と義勇を見るように促す。