第9章 風柱と那田蜘蛛山
そして更紗が神久夜に杏寿郎達の居場所を聞いているのを耳にしたしのぶは大きくため息をついた。
病み上がりで出ていく気なのか……と。
「もしかしなくても煉獄さん達と合流するつもりですか?」
呆れと少しの怒りを滲ませたしのぶの声に更紗はビクリと肩を震わせながら視線を斜め上へと持っていった。
「……煉獄さんに怒られますよ?」
「僕も……兄上に叱られると思います」
まさか2人から反対されると思っていなかった更紗は冷や汗を流しながら、最後の頼みの綱である神久夜を見つめる。
「叱ラレマス。恐ラク全柱の方々カラ……」
頼みの綱である神久夜が1番怖い返答を返してきて更紗は項垂れるも、その目には諦めなど全く映していない。
「ですが鬼はあの屋敷の当主です!私が出て行き隙を見せなければ、柱の方が全員揃っている現状だと出てこないと思うのです!」
天元も違う場所で言っていた通り、柱全員が揃い踏みしている状況で鬼が易々と姿を現すはずもない。
しかもこうした大きな騒ぎを起こす時は、必ず鬼舞辻無惨はある事から目を背けさせる為だと相場が決まっているので、更紗が囮になろうがなるまいが、どちらにしても鬼舞辻無惨は姿を現さないだろう。