• テキストサイズ

月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第9章 風柱と那田蜘蛛山


四半刻ほど皆で飲み交わした後、そろそろ出発しなければ日が暮れる前に帰れなくなってしまうと全員から追い立てられるように更紗と杏寿郎は買い出しへと繰り出した。

あと半刻もすれば夕日に変わるであろう太陽の光を浴びながら、更紗は意を決してしのぶに促された話題を杏寿郎に切り出す。

「杏寿郎君、私……血を媒体にした治癒がどれほどのものなのか試したいのです」

「なんとなくだが、その事ではないかと思っていた」

しのぶとの会話、内緒話、その時の更紗の言動から、確証はないが杏寿郎は治癒に関する事だろうと目星をつけていた。

「やっぱり杏寿郎君はお見通しですね」

歩きながらも杏寿郎に向けられる少し泣きそうな笑顔は、杏寿郎の目の奥も刺激するものだった。

「桐島少女の一件から言われる覚悟はしていた……安易な気持ちからではないと分かっているからこそ、俺は心配になる」

杏寿郎は立ち止まり、腕に絡められていた更紗の手を取って向かい合わせる。

「父上との約束を違わないと信じているが、君は目の前に苦しむ人がいれば無理をしてしまうだろう……だから俺は大手を振って後押しは出来ない。しかし、それでは君の意志を無碍にしてしまう……もどかしいものだ」
/ 1883ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp