第9章 風柱と那田蜘蛛山
「おっし!!お前ら全員にいきわたったな?そんじゃ、祝言の際に媒酌人をつとめる俺が」
「宇髄!仲人を頼みたい!」
「派手に任せろ!仲人くらい……仲人?!」
いきなり杏寿郎に大役を任され大いに焦り理由を問おうとするも、それは個性豊かな柱の1人に阻まれる。
「媒酌人も仲人もたいして変わんねぇだろ。さっさと音頭取れよ、日が暮れたらこいつを外に出せねェじゃねぇか」
さすが妹として更紗を可愛がる実弥らしい言葉だ。
天元によって伝えられた更紗の現状を鑑みての言葉に、柱と槇寿郎から無言で
(さっさとしろよ)
という圧を受け、色々不満や疑問は残るが祝いの席で喧嘩をするわけにはいかないと荒い言葉を飲み込む。
(お前ら後で覚えとけよ!派手に酒流し込むからな!)
と物騒なことを胸中に抱きながら乾杯の音頭を取る。
「仲人でもなんでもしてやらぁ!!んじゃ、気を取り直して……煉獄杏寿郎と月神更紗の婚約成立を祝しまして、乾杯!」
『かんぱーい!』
こうして賑やかな祝いの場と言う名の忘年会が始まった。
ほんの少し、杏寿郎と更紗の胸にざわつきを残したまま。