第9章 風柱と那田蜘蛛山
「ちょっとお前ら落ち着け!何もかもが派手におかしいが、悲鳴嶼が買いに行くなら煉獄達に任せた方がいいだろ?なんか互いに話すことがあるみてぇだし」
あれほどガヤガヤしていたにもかかわらず、相変わらず耳が抜群にいい天元は2人の会話を拾っていた。
「そ、そうね!それに家族の団欒も大切だと思うわ!もし無一郎君も作りたいなら」
「うん、僕は遠慮しとく」
どうやら無一郎は自分が作ることは良しと思っていなかったようで、蜜璃の提案が全て出される前に却下した。
ひっそりと落ち込む蜜璃を小芭内がしっかりとなぐさめているのを微笑ましく更紗が見ていると、千寿郎が隣りにやって来た。
「最後になってしまってすみません、何を飲まれますか?」
「あ、えっと……千寿郎君のお勧めはどれでしょう?」
更紗の質問に千寿郎はしばし悩んだ後、一つの瓶を手にした。
「ラムネ、はいかがでしょう?僕も飲んだことはないのですが、甘くて口の中がシュワシュワするらしいです!一緒に飲みましょう!」
「シュワシュワ?なんだか楽しそうな飲み物ですね!一緒にラムネ初体験です!」
ほのぼのな雰囲気が広がり、ようやく全員に飲み物が渡った今やはりここは天元が声を上げた。