第9章 風柱と那田蜘蛛山
「ありがとうございます。天元君、その時はお願いします。蜜璃ちゃん、伊黒様、私は杏寿郎君が望まれるならどちらでも構いません」
蜜璃はキュンキュン胸を鳴らし潤んだ瞳で頬を赤らめ幸せそうに微笑む更紗の手を握る。
「可愛いわっ!ほらっ、私達はお酒は飲めないけど果実水とかラムネとか甘い飲み物もあるんだよ!早く座ろっ!」
蜜璃に促され、3人は沢山の料理と飲み物が並べられた卓袱台に前へと腰を下ろした。
蜜璃の言う通り色とりどりな見ているだけで楽しい飲み物が並んでいるが……
「ふむ、鬼ころし。鬼殺隊らしい酒だな!これを持ってきたのは不死川か?」
柱は全員が鬼に対して嫌悪感を少なからず抱いているが、羽織に「殺」と染め入れている実弥が表面的に1番それが強そうに感じられるので、杏寿郎は尋ねてみたが首を左右に振られてしまった。
「あ"ぁ"?俺じゃねぇ。しかも持ってきた奴、俺が1番気に食わん奴なんだがなァ」
「俺だ」
まさかの義勇だった。
「冨岡か!凄まじい気合を感じるな!よければ後ほど共に飲もう!」
「あぁ、そうだな」
……相変わらず言葉足らずで会話が続かないが、杏寿郎は全く気にしていないようで満足げに頷いている。