第9章 風柱と那田蜘蛛山
天元の言葉に更紗は杏寿郎の胸元から脱出し同意する。
「そ、そうです!天元君を紹介しないとですし!入りましょう!」
「あ、姫さん顔が……」
勢いよく襖を開ける更紗は真っ赤な顔のまま部屋へと飛び込んでいった。
「ふむ、慌てる姿も愛らしいな!」
「……煉獄、派手に重症だな。ま、いいけどよ。さてと、姫さんに改めて紹介してもらいますか」
重症だと言われた杏寿郎は部屋に入っていく天元を見送りながら、1人納得したように頷いて部屋へと戻っていった。
(重症なのは自覚している!全く問題ない!)
杏寿郎が問題なくても更紗には問題が残るだろう。
「更紗、顔が赤い理由は会話が全て筒抜けだったからあえて聞かない。愛されていて何よりだね」
襖の前で小声で話さずいつも通りの大きさで話していれば筒抜けにもなるだろう。
いたたまれない更紗は顔を赤くしながらも、涼平も紗那も何分嬉しそうに微笑んでいるので怒られるよりはマシだと思いなおし、改めて天元を紹介する。
「こちらが宇髄天元様、何度も助けていただいて、鍛錬にもお付き合いしてくれてるんです」