第9章 風柱と那田蜘蛛山
特に杏寿郎の中で印象的な2つの出来事を話す。
「最終選別から彼女が帰った際の2人の喜びようは私が呆気にとられるほどでした。後は初任務から帰った際も私の心配よりも更紗さんの身を案じていました。弟はもとより仲が良かったのですが、父はまるで本当に自分に娘が出来たかのようで、更紗さんが家にいることが嬉しいようです」
杏寿郎の言葉、声音があまりにも穏やかで優しくて、涼平は眩しそうに目を細めて頬を緩めた。
「更紗は沢山の人に愛される子に育っているんだね。鬼殺隊の皆さんともうまくやっているか?あの……えらく顔の整った背の高い……宇髄さんと言ったかな?初めに姿を見たときはまさか更紗と関りがある人だとは思わなかったけどね」
派手好き元忍者は涼平が心配せずとも嫁達共々妹にように可愛がっているので、その顔を思い浮かべただけで笑いがこみ上げた。
「お父さん、天元君ならこの家にいるよ?すごく良くしてくださるんです。紹介してもいい?」
「え?ちょっと……」
「まぁ!更紗ちゃんがお世話になっているならぜひご挨拶したいわ!」
「はい!少し待っていてください!」
「あの、更紗……」