第3章 出会い
この短い時間でも、あれだけ表情が変わるのだ。
まだまだ表情の乏しい更紗にとって、よい影響を与える存在となりそうである。
そうして千寿郎が戻ってきて、杏寿郎が家を開けている間の話を聞いてからは、鬼殺隊の詳しい内容……鬼の特徴、鬼を狩る方法、柱の人数や呼吸を使った技がある事、呼吸にも様々な種類があり、育手によって弟子の主な呼吸がある程度決まる事などを杏寿郎から教えてもらっていた。
「後は最終選別の説明もあるが、先に菓子をいただこう!千寿郎、よくやった!!芋羊羹を用意するとは!」
「はい!兄上の好きなサツマイモで作られています!是非、更紗さんにも食べていただきたいと思いまして」
褒められた嬉しさと、更紗の食べた時の反応が楽しみなのが相まって薄く頬が紅潮している。
「うむ!更紗は羊羹を食べたことはあるか?」
珍しそうに羊羹を眺めている更紗は羊羹を見つめたまま首を左右に振る。
(サツマイモは食べた事が昔にありますが、こんな綺麗な食べ物は見たことないです!)
目をキラキラさせて羊羹に釘漬けな様子を見て、杏寿郎と千寿郎は顔を見合わせて笑い、更紗に羊羹を勧める。
「甘くて美味いぞ!きっと更紗も気に入る!」
「ここの羊羹は兄上も僕も大好きなんです!更紗さんにも気に入って貰えるはずです!」