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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第9章 風柱と那田蜘蛛山


「愛されて……?えーっと、更紗と煉獄さんは恋仲なのか?」

父親の疑問に更紗はハッとしたように両手で口元を押さえるが、そんな行為にもう何の意味ももたない。

「き、杏寿郎君。私、言う機会を間違えたみたいです」

両親を安心させてから話そうと思っていた杏寿郎は泣きたくなったが、ションボリ項垂れる更紗を目にしてしまっては、まぁいいかと切り替えるしかなくなる。

更紗の頭を撫でて心配ないというように笑顔を向ける。

「構わない、順番が前後しただけだ。隠すことでもないからな」

「はい……すみません」

いまだに落ち込んでいる更紗の頬を撫でてから、涙もすっかり引っ込んでしまった両親に向き直り居住まいを正す。

「涼平さんのお言葉通り、私と更紗さんは好きあっております。更紗さんの底の知れない優しさ、何事にも懸命に取り組み目指すところへひたむきに努力を続ける姿、人を心から慈しみ尊重できる心根に私から惹かれました。誰よりも愛おしく失いたくない女性です」

杏寿郎は一度言葉を切って深呼吸をする。
その時に映った両親の顔……涼平は厳しく杏寿郎を見定めるような、紗那は顔を赤らめてうっとりしているような、全く違う表情をしている。
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