第9章 風柱と那田蜘蛛山
杏寿郎が2人に媒酌人の説明をしたり他愛もない話しを3人でしていると、家人に3人の居場所を聞いたであろう隠が部屋へとやって来た。
「煉獄様、宇髄様、月神様、お待たせ致しました。お連れしましたのでご案内させていただきます」
3人は顔を見合せ頷き合うと、天元を除く2人が立ち上がり隠の元へ歩み寄る。
「俺は任務帰りだからな、ここで休ませてもらうわ。派手に行ってこい!」
「任務帰りだったのか……だが、この場を設けられたのも宇髄のお陰だ。感謝している」
「もういいって!早く行ってこいよ。待たせるもんじゃねぇ」
更紗も礼を言おうとしたが、その前に天元に制されてしまった。
後ろ髪引かれる思いだが、確かに待たせる訳にはいかないのも事実だ。
「天元君、行ってまいります」
満面の笑みの更紗に天元も笑顔で応える。
2人のやり取りを微笑ましく見守っていた杏寿郎は、更紗の背に手を当てがい移動を促す。
「ようやく会えるな、行こうか。隠の方、案内を頼む」
「はい!よろしくお願いします」
こうして2人は緊張のいくらか和らいだ隠に導かれ、更紗の両親のいる部屋へと足を動かした。