第3章 出会い
杏寿郎のその言葉で少し気持ちが楽になった更紗はホッとため息を着く。
「だが、すまん。父上も母上が亡くなって辛いんだ。あまり褒められた態度ではないが、許してやってくれ」
更紗はフルフルと首を横に振って、気にしていないと示した。
「ご当主様は、きっと寂しいだけじゃないと思います。杏寿郎さんと千寿郎さんがいなくなってしまうのではないかと、不安なのだと思います。特に杏寿郎さんは鬼殺隊の柱をしていらっしゃるから、心配されているのではないでしょうか?」
杏寿郎は更紗の言葉に目を瞬いた。
心底驚いているようだ。
「よもやよもやだ!そう言う考え方もあるのだな!うん、それなら嬉しいな!早く鬼を滅して、父上を安心させてさしあげなければ!」
足取りを軽くして杏寿郎は千寿郎のいる居間へ歩き出す。
「更紗も行くぞ!千寿郎はきっと更紗が来るのを楽しみにして、美味い菓子を用意してくれているはずだ!」
楽しみにしていたのだろうか??
と首を傾げたが、杏寿郎が言うのだからそうなのかもしれないと思い直し、歩幅の大きな杏寿郎の後ろを小走りで追いかけて行く。