第9章 風柱と那田蜘蛛山
「え?」
「え?」
なんとも短い言葉の応酬を行うも、何をどうすれば解消されるのか全く理解していない更紗の一言と杏寿郎の一言では意味合いも大きく違ってくる。
杏寿郎はそういった行為がどのようなものか勿論理解しているが、自分の裸体を見られる事すら恥ずかしがる更紗に出来るかは甚だ疑問しかない。
「あるにはあるが…… 更紗が出来るのかは微妙なところだ」
「そ、それでも杏寿郎君が喜んでくださるならば頑張ります!」
「……男のあるものに触れなくてはいけないぞ?」
その言葉に更紗の体は正直に固まるも、杏寿郎の背に回されている手を決心したようにギュッと握り、モゾモゾと動かす。
「ちょっ……!!」
杏寿郎は嫌な予感がして素早く手を動かし、すんでのところでその行動を抑止することに成功した。
真昼間の……しかも外で杏寿郎の何がしに手を添えようとした更紗に脱力し細い肩に顔を預け、ゆっくりとその手を離す。
「末恐ろしいな……外はさすがにまずい。雪が降り気温も下がった、とりあえず家の中に入らせてもらおう。話はそれからだ」
まずは更紗を教育していくところから始めなくてはならない。