第8章 お引越しとお宅訪問
神久夜はこくこく頷き、ぴょんぴょんと更紗の足元に移動してその足にすりすりと頭を擦り付ける。
まるでこの状況を喜び安心しているかのように。
「神久夜は君が空に放った後もそばを離れず、その場でずっと旋回していた。ここまで片時も君を視界から外すこともなかったんだ」
こちらを見上げている神久夜を更紗はそっと腕に抱き、その顔に自らの頬を擦り寄せた。
「ありがとうございます、神久夜さん。これからもよろしくお願いいたします」
ポロポロ涙をこぼす神久夜と嬉しそうな更紗のほのぼのな光景に、杏寿郎と天元の頬も自然と緩む。
そのまま見守ってやりたいが、杏寿郎は更紗の背に手を当て天元へ向くように促し、まずは自分から頭を下げた。
「今回の件、全てにおいて感謝している。ありがとう、これからも更紗共々よろしく願いたい!」
続いて更紗も神久夜を抱いたまま例を述べる。
「本当にありがとうございます。私の力の件でご迷惑お掛けするかもしれませんが、善処しますのでこれからもよろしくお願いいたします」
礼を述べられた天元は穏やかに笑った後、2人の後頭部にバシッバシッと手刀を繰り出した。