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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第8章 お引越しとお宅訪問


「天元君……お騒がせじだのに、ずぐ帰っできてずびばぜん……」

もうぐずぐずで危うく聞き取り損ねる言葉に、笑いを噛み殺していた杏寿郎は穏やかな笑みに変わり、天元は吹き出す。

「アハハっ!謝んなって!!こうなるの姫さん招く時には派手に分かってたからな!俺に謝るより煉獄に礼言っとけ。今まで姫さんと派手に向き合って、こうして全部受け止めてそばにいる事を迷いなく選んだんだからな」

更紗は頷いた後、慌てて手拭いでゴシゴシと顔を拭き体ごと杏寿郎へ向け深く頭を下げる。

「杏寿郎君、こんな私をそばにいさせて下さってありがとうございます。これからご迷惑かけないように気を付けます」

杏寿郎はそんな更紗の肩に手を置き頭を上げさせると、フワッと胸に抱きすくめた。

「これからもそばに居てくれるならば、それだけで俺は嬉しい。今回の件は宇髄と奥方達の協力あっての事だ。2人で宇髄と明日の朝には奥方達に礼を言おう……あと戸の外から顔だけ覗かせている神久夜にもな」

更紗が驚いて戸の方を見ると、涙を目に浮かべた神久夜が遠慮気味にこっそりこちらを見ている。

「神久夜さん、あなた遠くへって言ったのに……近くにいてくださったのですか?」
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