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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第8章 お引越しとお宅訪問


「そんな顔しないで……私は杏寿郎君に笑って明るい将来を迎えて欲しいだけなの!その隣りに私が居られなくても……生きてさえいてくれれば」

「生きて更紗がいない世界で笑えというのか?俺は最愛の妻を亡くした父上の姿を見ている。俺にあのような辛い気持ちを味わえと言うのか?」

更紗の脳裏に煉獄家へやって来た時の槇寿郎の姿が思い浮かぶ。
悲しみや不甲斐なさを酒で忘れようとする姿は痛々しく、見ているだけでこちらも悲しく寂しくなる姿だった。

「どうしてそんな事を言うの?そうじゃなくて……私のせいで痛い思いも死ぬような経験もしてほしくなくて……」

涙を止めどなく流す更紗の手を自身の方へ引っ張り、逃げ出さぬよう強く抱きとめる。
その温かさに更紗の力も抜けそうになるが、その体を叱責し突き放そうと力一杯腕で胸を押すもビクともしない。

「ヤダ!離して!!離してよ……!」

「離さない。俺は前に言ったはずだ、君のそばを離れるつもりはないと。君もそう言ったのだからそれを貫け。そうしないと、後々自分を苦しめるぞ」

そんな事は更紗も分かっているし、約束を違える事はしたくないのだ。
だが、今はそうも言っていられないのが更紗の胸中であって……
どうすればこの腕から逃れられるかを必死に考え、一つのことを思いつく。
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