第8章 お引越しとお宅訪問
杏寿郎もそれはやりかねないと思っていたので、苦笑して小さく笑った。
「ハハッ、宇髄もやはりそう思うか。では、有難く活用させてもらうことにする!あの子は我慢をして、こっちが促さない限り弱音すら吐かんから1度自分の思うままにさせてやりたい。迷惑はかけないようにする、大目に見てくれないか?」
杏寿郎の願いを無下にするはずもなく、天元は杏寿郎の肩に腕を回し卓袱台に置かれたお猪口に酒を注ぐ。
「迷惑なんて俺も嫁達も思わねぇから好きにしろよ!嫁達には俺から伝えとくから、派手に姫さんの本音ださせてやれ!ってか、煉獄、酒強いな……昔から飲んでた??」
「感謝する!……酒は成人してからだ。父上が強いからな、それを受け継いだのだろう」
杏寿郎に強いと言う天元も相当の強さである。
昼からダラダラと2人で飲んでいるが、全く酔っている様子が感じられない。
そうして2人で飲んでいる所へ顔を上気させた更紗と嫁達が戻ってきた。
楽しかったのであろう、更紗はいつもの笑顔を浮かべている。
この笑顔を曇らせる話をしなくてはいけないと思うと、杏寿郎の胸はチクリと痛んだ。