第8章 お引越しとお宅訪問
杏寿郎のどこまでも更紗を想い、慈しもうとする言葉、声音、表情に天元は眩しそうに、嬉しそうに目を細める。
元々杏寿郎は人情味溢れた人物であるとは知っていたが、ここまで1人の女子をひたむきに守ろうとする姿は見た事がなく新鮮で尊い。
「姫さんにとっても、煉獄のそばにいる方が心身共に安定するだろうしな。あと最後の言伝、任務についてだが、基本的に煉獄と同行任務。例外的に柱が向かう任務かつ人手が必要な時はそっちへ同行する事になる。何か質問はあるか?」
衣食住、任務と生活の大半を占める問題は今のところは解決した。
あとは更紗の力に関しての研究だが、これはしのぶがいないとどうにもならないので除外だ。
「今のところは大丈夫だ。柱の皆へ伝える際はくれぐれも礼も共に添えてくれ。俺も後日、文を出す」
相も変わらず几帳面だが、この人柄があるからこそ柱達からも一目置かれ、一般剣士からの人望も熱いのだろう。
継子は鍛錬のあまりの厳しさにより、今は更紗だけだが……
「派手に任せろ!とまぁ、お館様からの言伝は以上だ。あと俺からの助言だが、今夜姫さんに今の件を話して様子みててやれ。ここいらなら万が一、姫さんが色々考え込んじまってこっそり出て行っても見晴らしがいい分見つけやすいし、危険も少ないだろうからな」