第8章 お引越しとお宅訪問
「姫ちゃんの中に小動物でも入ってるの?!待って!私も一緒に入るー!!」
「あんた何言ってんの?!あたしらはご飯作んの!!」
「いやー!私も……ぎゃっ!今ぶった!天元様見ました?!」
すでに風呂場へと足を進めていた天元は見ている訳もなく
「あー見てなかったわ」
「ぼんくら!!」
天元一家の賑やかなやり取りを背後に、更紗と杏寿郎は笑顔を浮かべながら天元の後を着いていく。
3人の嫁達はその後も賑やかに騒いでいたが、少しすると天元に言われた通り昼餉を作りに行ったのか、楽しげな会話しか聞こえなくなった。
「天元君、可愛らしくて優しくて素敵な奥方様達ですね。それなのに気を遣わせてしまって……」
「俺の嫁達だからな!んで、いつもあんなだから気にすんな!むしろ煉獄と姫さんのやり取り見て派手に喜んでたから、あいつらからしたらご褒美だったんじゃね?ほら、着いたぞ」
天元によって開かれた引き戸の中は、それこそ4人で入っても余裕がある程の広さの脱衣場と浴槽があった。
「見事だな」
「俺の趣味が嫁達と温泉巡りだから、ここは派手にこだわった!そこに替えの浴衣と手拭い置いてっから、適当に使ってくれ」