第8章 お引越しとお宅訪問
須磨の無邪気な意見も更紗には刺激が強いらしく、目をグルグル回し足元も覚束なくなってきた。
そんな更紗の様子を見た杏寿郎は苦笑を浮かべた後、懇親の力で足を踏ん張り天元の動きを止めたので、自然と全員の足もその場にとどまった。
「煉獄、早くしねぇと飯食う頃には冷えちまうぞ」
「それは申し訳ないな!そうならん為にも更紗は俺が連れていく!宇髄、風呂場の場所を教えてくれないか?!」
カッと見開かれた瞳には笑顔にも関わらず有無を言わさぬ雰囲気が漂っており、天元も嫁達も言葉に従おうとしか思えなかった。
「お、おう……んじゃ俺が案内すっからお前達は飯の準備しててくれ」
「感謝する!奥方達も勝手を言ってすまない!風呂はありがたく入らせていただくことにする。更紗、おいで」
顔色は赤いままだが、杏寿郎に呼ばれたので3人の嫁達にペコリと頭を下げてから差し出された手に自分の手を重ねた。
「須磨様、まきを様、雛鶴様、ありがとうございます。お風呂お借り致します」
3人はポカンと呆然としていたが、一瞬後には顔をほんのり赤く染めて悶えだした。