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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第8章 お引越しとお宅訪問


元忍の家という事になるが、少し人里離れて佇んでいるものの特に綿密に隠されているということは無く、立派にどんと建てられていた。

門をくぐり玄関に足を踏み入れると、いい匂いが漂い、火を起こしているのだろう、濡れて冷えた体の緊張を解してくれる。

「お前ら派手にずぶ濡れだな。無事なのその鎹鴉だけじゃねぇか、ちょっと待ってろよ」

「手間を掛けさせてすまない」

杏寿郎の言葉に天元は気にするなと言うように手をヒラヒラ振ると、草履を脱いで嫁達が居るであろう奥の部屋へと廊下を歩いて行った。

「杏寿郎君、私……少し緊張してきました」

もうすぐ姿を見せるであろう天元の嫁達とは、杏寿郎はもちろん更紗も初対面である。
杏寿郎は特に人見知りはしないので、緊張で身を硬くする更紗の頭を撫で笑顔を向ける。

「大丈夫、宇髄の奥方達だ。君に会いたいと言ってくれてたのだから、歓迎してくださるはずだ」

杏寿郎の穏やかな声音に更紗は少し緊張が解けたのか、1度大きく深呼吸をしてから杏寿郎の隊服をキュッとつまみ、自分より頭一個分ほどの高さにある瞳を目を細めて見つめた。

「杏寿郎君がそばで笑顔でいてくださると、不思議と心が穏やかになります。もう落ち着いちゃいました」
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