第2章 追い風
しのぶと同様、杏寿郎は更紗に目を細めて笑顔を向けると、もう一度お館様に向き直って言葉を続ける。
「ただただ純粋に人を救いたいという温かい心、諦めず強敵に抗う強い意志。それに、この少女は稀血と思われます。誰かに守られるだけでなく、自分の身は自分で守りたいと自ら俺に言いました!心は既に鬼殺隊剣士だと感じましたので、それならば俺が自ら育手になり剣士にと!」
そうか、とお館様は小さく呟く。
「最後に更紗に確認するよ。どうかな?ここの2人が賛成してるならば、他の柱の子達も反対しないと思う。ただ、鬼殺隊の剣士になるにも、剣士になってからも日々鍛錬だ。命の危険も幾度となく訪れる。それでも、鬼から人を守り助けたいと思うかい?」
お館様の言葉に更紗は迷いのない真っ直ぐな瞳で答える。
「はい。私の命は煉獄様とあと1人の方に救われました。ですが、その方は私を庇って亡くなってしまいました。あんなに悲しい思いは誰にもして欲しくありません。それに煉獄様に見つけていただき、助けられた時の泣きそうな程の安心感は、きっと生涯忘れられません!きっと、煉獄様は私の想像を遥かに超える努力を日々行ってきたのだと思います」